新しい論文が「PLOS ONE」誌に掲載されました。
論文「Insect-derived polymer hydrogel based on fibroin matrix from whole silkworm larvae」が「PLOS ONE」誌に掲載されました。筆頭著者の山崎 眞希さん(研究員)のコメントは次のとおりです。
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昨年,当研究室ではカイコ幼虫粉末(B100rw)を作製し,そのB100rwが生きたカイコ幼虫特有の特徴を維持していることを報告しました。今回の論文では,そのB100rwから追加のゲル化剤を用いることなくハイドロゲルを調製することに成功し,そのゲルについて詳細に調査して報告しました。
これまでにカイコの繭からハイドロゲルを調整する方法はすでに確立していましたが,幼虫粉末からのゲル化は初めてのことでした。B100rwには繭成分が含まれるため,ゲル化することを期待して研究を進めましたが,ゲル化する条件の最適化と再現性の向上には非常に苦労しました。その結果,B100rw由来ゲルは従来の繭由来ハイドロゲルとは異なるゲル化挙動と独自の機械的特性を示すことを明らかにしました。これはB100rwには繭成分に加え,キチンやセルロースといった昆虫由来のポリマーが含まれているためと考えられます。
今回の成果は、まだ学術的な一歩にすぎませんが,昆虫由来ポリマーゲルの特性を活かし、B100rw由来ハイドロゲルが食品および医療分野などで応用できる可能性を示唆しています。この研究が次のステップや応用研究につながることを期待します。そして,研究を続けていきます。
最後に、本研究を支えてくださった共著者、研究室メンバー、ならびにご指導くださった先生方に心から感謝申し上げます。
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